介護業界における連携とは
「連携」と言うと、それぞれの専門家が自分の持ち場でしっかりと仕事をして、それが一つながりになって成果をあげるというイメージがあります。たとえば自動車の製造ラインがそうで、エンジンを据えつけたり塗装したりという作業が連携して一台の自動車になるわけです。
しかし介護の現場での連携は、こういうものではありません。自動車の製造ラインでは、それぞれの工程が独立して行われますが、高齢者の場合は一つのサービスだけを提供して「これで自分の仕事は終わり」と割り切った顔はできないのです。みんなと協力して一つのサービスを提供する以上は、ほかのサービスの内容にも関心を持たなければなりません。そうなると介護にかかわる人は、ほかのサービスを提供する人たちについても知ることが重要になります。つまり介護における「連携」とはサービスを提供する者同士が、お互いに円滑な情報交換を行うことが重要になってくるのです。それぞれが全体像をみて、自分がどの立ち位置にいるのか、そして何を目標にして動くべきなのかを定かにしておくことで、最高のケアが実現できるのです。
一人の高齢者の生活ニーズに全てのプロが協力して応えるということは、全てのサービス提供者の「輪」の中に一人の高齢者が入り、その高齢者を通じて全てのサービス提供者が網の目のように結ばれ合う関係でなければならないのです。プロとして個人がつながる協力関係こそが、理想的の地域ケアなのです。高齢化社会が必要とする生活支援ネットワークの輪を、介護業界で仕事をする人が中心となって支えていかなければなりません。